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民事再生法の行方!?

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今度は・・・岩倉土地開発だ。

そう、マスコミは一斉に、同社が、民事再生手続を申請したと報じた。

民事再生手続は、民事再生法により新たに作られた制度だ。

平成12年4月1日の施行を待っていたかのように、そして現在も全国各地で多くの申立てがなされている。施行して3か月後には大手百貨店そごうが申立てを行い、世間的にも民事再生手続、民事再生法といった言葉も認知された。

が、法律用語は知っていても意味がよくわからない、ということが多いものである。

今回は、民事再生手続開始を申立てた大手スーパーのマイカルを例に、一寸、復習してみよう(もう少し詳しい説明は、こちらをご参照下さい。)。

さて、マイカルが東京地裁に民事再生手続の開始を申し立てたのは、本年9月14日のことだ。そして、この申立てに先立ち、ご承知のとおりの荒事がひとつあった。

四方修社長のグループは、メインバンクの第一勧銀とのある種の協調関係をとりながら、大阪地裁で会社更生手続を行おうとした。そして、側聞するところによると、支店あるいは関連会社との関係で、全国各地に多数の弁護士を待機させていたようだ。

ところが、山下幸三取締役のグループは、直前の取締役会で四方社長を代表取締役から解任し、山下取締役が代表取締役社長に就任し、民事再生手続開始を申立てたのである。
 
もっとも、山下取締役としても社長になりさえすれば、その場ですぐに民事再生手続の申立てができる、そんなはずもない。企業運営のための現実的な裏付けはもとより、弁護士等のスタッフ、軍資金などについて、周到な準備が必要であるから、クーデターのために相応の準備が続けられていたはずである。破綻前の6月、マイカル北海道をジャスコ(現イオン)に売却する計画が進められており、このことが対立を顕在化する大きな原因となったとの報道もある。

さて、会社更生も民事再生も、企業の再建を裁判所の関与と監督の下に遂行するための法的手段であるが、会社更生が大企業を対象として想定されていることのほか、特に経営という観点からみた場合、両者の大きな違いは、民事再生手続の場合は、旧経営陣が退陣しないまま、その主導で再建を図ることを可能としている手続を認めているということだ。

しかも、民事再生手続では、破綻前でも申立てが可能となり、申立時点で再建案(再生計画案)を提示しなくてもよく、申立てが容易となり、再建案(再生計画案)の決議を成立させやすくなったほか、債権者としての担保権行使も制限され得るようになっている。しかも、医療法人等の法人や個人事業者にも配慮して作られているほか、営業譲渡に関する規定を設けるなどM&A(企業買収)を容易にする方策も設けられている。倒産というと、これまで金融機関と相談しながら行うことが少なくなかったと思われるが、民事再生手続は、制度を全体的に見ると金融機関がイニシアチブを握る要素が少なくなったと考えられる。

マイカルの民事再生手続の申立ては、第一勧銀との訣別を前提に行われたが、民事再生手続は、制度としてはそのように従来の金融機関を排除しながら進めることを従来より容易にしたといえる。

と見てくると、民事再生は、再建を図ろうとする従来の経営陣にとっては、良い事づくめのようにも見える。

しかし、一旦瀕死の状態になりかけた企業が蘇ることを支援する制度である以上、甘い話ではない。経営陣が退陣しないで企業を再建する法的手続としては、和議という手続が利用されていた。しかし、その場しのぎの安易な申立てがなされることが少なくなかったほか、和議条件(再建案)認可後は裁判所の監督もなく、和議条件の履行が保証されておらず、現実に不履行となった例が多かった(ワギではなく「サギ」だという揶揄がされることもあった。)。

民事再生手続は、このような事態を回避しなければならないという認識のもとにできた制度であり、裁判所の関与、監督の度合いが厳しくなったといえる。

山下新社長は、就任1か月も経たず9月28日退任し、しかも、再建の手段は、会社更生手続に切り替えられた。
裁判所の関与、監督の度合いを考えれば、従来の経営陣が主導して進めるとはいっても、当然、裁判所を納得させるほどの現実的な再建策を提示しながら進める必要がある。金融機関を排除しながら進めれるとはいっても、それに変わるスポンサーが必要であることはいうまでもない。その確保ができなければ、民事再生手続による再建は不可能である。

民事再生手続は、制度の仕組みとしては、柔軟な対応を可能とするが、それに見合う実態を備えなければ、“絵に描いた餅”のままで、旧体制を温存することを許すものではないのだ。

北海道関連だけみても、マイカル関連の小樽ベイシティ開発のほか、山下洋服店、はるやまチェーンなどなど民事再生手続によって再建を図る企業が多数ある。
北海道の人にはピンとこないかもしれないが、大分県に杉乃井ホテルという民事再生手続中の会社がある。別府温泉を代表する観光ホテルを経営する会社であるが、カラカミ観光が買収を断念したとか、加森観光が資金援助に乗り出すといった報道もあり、ある意味で北海道とも関連がある。

民事再生手続は、それを利用することを企図した者の立場との関係で、倒産劇と再建の営みが現実にどのように推移していくかを確認していくことにより、その真価を問うことができるし、有用性と限界を明らかにしていくことができることになる。

今後とも、民事再生手続に関する知識は、必須のものといえるであろう。



◎当サイト別項「『民事再生法』適用できる?医療法人でも十分に利用可能

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