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コラム

裁判に時間がかかるのは

出典:毎日新聞 平成11年10年月30日朝刊
『La Femme~ラ・ファム~』連載

今春、大学の法学部に進学しました。将来弁護士を志しています。日本では裁判に時間がかかることが問題点として指摘されていますが、欧米と比べて弁護士が少ないせいなのでしょうか。今後、弁護士の数は増えていくのでしょうか。
(学生・18歳)

米国の弁護士の数は90万人を超えています。これに対し、日本の弁護士の数は1万8856人です(平成14年5月14日現在 なお、札幌弁護士会は322名)。国民数に対する割合を見ると(1997年)、弁護士数は、米国では国民約290人に1人、日本は約6300人に1人となり、日本の弁護士はかなり少ないという感は否めないところです(弁護士数の推移)。
日本でも、司法試験の間口を広げ、法律家(法曹)、特に弁護士を増やす方向に進んでいます。司法制度改革審議会意見(平成13年6月12日)では、2018年ころまでに法曹人口を5万人に増やすことが目標とされています。
司法試験合格者数は、私が合格した昭和61年は486人であり、前後も約500人で推移していましたが、平成11年には1000人を超えましたが、司法制度改革推進計画(平成14年3月19日閣議決定) によると、平成22年ころには3000人程度に拡大することを目指すとされています。

米国では、人数の多い分、弁護士が専門化しています。大企業だけを顧客(クライアント)とする法律事務所(「ロー・ファーム」)では、1000人以上の所属弁護士を擁することもまれではありません。
訴訟についてみると、映画のエリン・ブロコビッチ 、シビル・アクションやレインメーカーでも見られたように、原告専門の弁護士(「トライアル・ロイヤー」)も多数います。民事訴訟の年間数を比べると、米国は日本の人口の2倍程度であるにもかかわらず、件数では7倍強に相当する約1800万件にも及んでいます。
中には事故が起きると病院に駆けつけ、あるいはいつも病院に待機し、被害者や家族から委任状をとりつける「アンビュランス・チェイサー」(救急車の追跡者という意味)と呼ばれる弁護士もいるそうです。そして、勝ち取った額の3割から5割を報酬としてもらうというのが一般のようです。
 コマーシャルも日本の比ではなく、電話帳に顔写真入りの全面広告やテレビCMも大々的に放映され、このような状況で、米国では「訴訟社会」の弊害も指摘されています。

日本の裁判に時間がかかり過ぎるのは、弁護士数ばかりではなく、裁判所の体制の問題もあり、裁判官や法廷などの施設(インフラ)が限られていることも大きな要因になっています。法曹(裁判官+検事+弁護士)の大幅増員は、強力に推進されているといわれている“司法制度改革”の目玉の1つであるけれど、法廷等の施設が拡大される見込みはないばかりか、法曹の大幅増員に見合った裁判官の増員の見込みありません。
要するに、法曹の大幅増員とはいっても、今確実に予言できる将来は、弁護士だけの爆発的増加。裁判の結論を出す“裁判所”側の体制が、質はともあれ、量的にさえもほとんど変わらない、そんな中で、一体どうして裁判が早くなるのでしょうか。

そして、日本では弁護士に頼むのは裁判というイメージが強いのですが、米国では日常的に弁護士に相談する土壌があり、司法制度や法律に対する考え方なども日本と米国では大きく異なっています。伝統とか文化というものは、良きにせよ、悪しきにせよ、いわば国民の癖であり、外国をまねてみたところでそう簡単に根付くものではありません(「和魂洋才」)。

弁護士が昔のように弁護士バッチだけで闊歩(かっぽ)し、法律事務所は敷居が高いと言われた時代は、間もなく終焉を迎えるとしても、土壌をさておいまま、弁護士の数を増やすことだけで裁判が迅速化されるのかどうか、誰でも容易に弁護士を頼めるようになるのかどうかもまた議論の分かれるところです。

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