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コラム

2010年6月アーカイブ

 読売新聞5月28日朝刊に,《労災補償 顔の傷 男女差は違憲 京都地裁判決 「合理的理由ない」》という見出しの,次の記事が掲載されました。

 

 労災の認定基準についての裁判ですが,交通事故の自賠責保険の基準のほか,交通事故の裁判の基準にも少なからず影響を与えることになるでしょう。同じ件の記事の中で,読売新聞の記事が,簡にして要でとても分かりやすかったのでご紹介します。

 

 ところで,同日の朝日新聞朝刊には,次のような識者の意見が紹介されています。
 ☆「顔に残った障害に男女差があるのは、裏を返せば女性は容姿が大事ということ。ミスコンテストと源流は同じだ」
 ☆「女性にとって最大の『就職先』が結婚とされた時代には、顔の障害が人生を左右すると考えられたのだろう」
 ☆「男性にも外見を気にする人はおり、社会的ダメージや精神的な被害は男女差ではなく、個人差と考えるべきだ」
 ☆「こうした格差づけは、男性への差別的扱いであると同時に、社会が女性を『外見』でとらえてきたことの表れでもあり、二重の意味で不平等を生んでいる。同様の法令や規定がないか洗い出し、国は見直しを図るべきだ」「女性の障害等級を引き下げるのではなく、男性を女性の水準に引き上げるべきだ」

 

 しかし,不平等だという結論には,かなりの賛成があるかもしれませんが,根本的な考え方については,意見が別れるところかも知れません。
 ともあれ,私は,男と女という別の人間の間の差が差別になるのかという視点より,そもそも,男性と女性が連続化し,境界がなくなっていることが世の中の潮流となっており,本判決も,そのような時代認識のもとに理解すべきものと考えています。
 「男と女の間には深くて暗い川がある」と歌っていたのは野坂昭如氏ですが,世の中の動きを考える場合,そのような時代認識は,もはや誤りだということです。 

 

 

【読売新聞からの引用】

 顔などに大きな傷跡が残った労働災害の補償で、女性よりも男性が低い障害等級とする国の基準は法の下の平等を定めた憲法に違反するとして、勤務先で大やけどをした京都府の男性(35)が障害等級に基づく等級の認定の取り消しを国に求めた訴訟の判決が27日、京都地裁であった。滝華聡之裁判長は「性別による差別的な取り扱いに合理的理由はない」と国の基準を違憲と判断、認定の取り消しを命じた。
 原告側弁護団によると、障害等級の男女差を違憲とした司法判断は初めて。
 判決によると、男性は金属精錬会社に勤めていた1995年、金属の溶解作業中に溶けた銅が飛んで顔や胸などにやけどし、大きな跡が残った。2004年、労働基準監督署から、腕などに負った傷と合わせて障害等級11級と認定された。
 障害等級表では、顔などに大きな傷が残った場合、男性は12級、女性は精神的苦痛が大きいとして5等級上の7級になる。給付金は12級は年間賃金の半分弱(156日分)を一時金で受けるだけだが、7級は3分の1強(131日分)を年金として受給できる。
 滝華裁判長は判決で「社会通念上は、容貌の障害による影響に男女差があるとされ、等級の男女差に根拠がないとはいえない」とした。一方で、女性の方が顔などの障害のために就労機会を制約されるなどとした国側の主張は「具体的根拠に乏しい」と退けた。そのうえで、「障害等級表では年齢や職種、利き腕などは障害の程度を決定する要素となっていないのに、性別だけ大きな差を設けるのは不合理で、憲法14条に違反する」と述べた。
 厚生労働省の話「今後の対応については関係省庁と協議して決定する」
 〈障害等級〉
 労働者災害補償保険法の施行規則に定められた障害等級表に基づき、各労働基準監督署が認定する。障害の程度によって1~14級があり、最高の1級で平均賃金(日額)の313日分が年金として給付される。

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