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コラム

2011年8月アーカイブ

訴状を提出するに当たり,駒崎司法書士に相談して,請求の趣旨を確定した案件です。

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                       訴        状
                                     
                                                          平成20年7月1日
                                                                           
札 幌 地 方 裁 判 所 御中


       原告訴訟代理人弁護士  前    田    尚    一 印


 〒063-0832
  札幌市西区発寒12条11丁目1-7
       原      告      ●●●●

 〒060-0061
  札幌市中央区南1条西11丁目1番地 コンチネンタルビル9階
       前田尚一法律事務所(送達場所)
       上記訴訟代理人弁護士    前田尚一
            電 話 011-261-6234
            FAX 011-261-6241
      
       被      告          北海道
       同代表者知事          高橋はるみ
      
       被      告          ●●市
       同代表者市長          ●●●●
 〒●
  北海道●●市......
  登記簿上の住所 ●●市....................................(別紙物件目録19の土地)
          ●●市....................................(別紙物件目録3,6,7,                             15,18の土地)
       被      告          X1  〒●
  北海道●●市......
  登記簿上の住所 ●●市....................................(別紙物件目録22,23,                             24,25の土地)
       被      告          X2
 〒●
  北海道●●市......
       被      告          X3
  〒●
  北海道●●市......
       被      告          X4
 〒●
  北海道●●市......
       被      告          X5
 〒●
  北海道●●市......
  登記簿上の住所 ●●市....................................(別紙物件目録8,9,                           10,13,14の土地)
       被      告          X6
  〒●
  北海道●●市......
  登記簿上の住所 ●●市....................................(別紙物件目録3,6,7                                  の土地)
       被      告          X7
  〒●
  北海道●●市......
  登記簿上の住所 ●●市....................................(別紙物件目録1,4,                           11,12,16の土地)
       被      告          X8

 

更正登記手続等請求事件
訴訟物の価額           8万7745円
(140,010+35,481)×1/2=87,745.5
ちょう用印紙額       1000円
送達料                  3万1000円

第1 請求の趣旨
 1 被告X8は,原告に対し,別紙物件目録1記載の土地について,●●地方法務局●●支局昭和48年10月27日受付第8141号の所有権移転登記を,錯誤を原因として,原告の持分12分の1,被告X8の持分12分の11とする所有権移転登記に更正登記手続をせよ。
 2(1)被告X1は,原告に対し,別紙物件目録2記載の土地について,●●地方法務局●●支局昭和48年10月27日受付第8140号の所有権移転登記を,錯誤を原因として,原告の持分12分の1,被告X1の持分12分の11とする所有権移転登記に更正登記手続をせよ。
    (2)被告●●市,被告X8は,原告に対し,前項の更正の登記について承諾せよ。
 3(1)被告X1は,原告に対し,別紙物件目録3記載の土地について,●●地方法務局●●支局昭和48年10月27日受付第8140号の所有権移転登記を,錯誤を原因として,原告の持分12分の1,被告X1の持分12分の11とする所有権移転登記に更正登記手続をせよ。
    (2)被告X7,被告北海道は,原告に対し,前項の更正の登記について承諾せよ。
 4 被告X8は,原告に対し,別紙物件目録4記載の土地について,●●地方法務局●●支局昭和48年10月27日受付第8141号の所有権移転登記を,錯誤を原因として,原告の持分12分の1,被告X8の持分12分の11とする所有権移転登記に更正登記手続をせよ。
 5(1)被告X1は,原告に対し,別紙物件目録5記載の土地について,被告X1は,原告に対し,別紙物件目録3記載の土地について,●●地方法務局●●支局昭和48年10月27日受付第8140号の所有権移転登記を,錯誤を原因として,原告の持分12分の1,被告X1の持分12分の11とする所有権移転登記に更正登記手続をせよ。
    (2)被告●●市,被告X8は,原告に対し,前項の更正の登記について承諾せよ。
 6(1)被告X1は,原告に対し,別紙物件目録6記載の土地について,被告X1は,原告に対し,別紙物件目録3記載の土地について,●●地方法務局●●支局昭和48年10月27日受付第8140号の所有権移転登記を,錯誤を原因として,原告の持分12分の1,被告X1の持分12分の11とする所有権移転登記に更正登記手続をせよ。
    (2)被告X7,被告北海道は,原告に対し,前項の更正の登記について承諾せよ。
 7(1)被告X1は,原告に対し,別紙物件目録7記載の土地について,被告X1は,原告に対し,別紙物件目録3記載の土地について,●●地方法務局●●支局昭和48年10月27日受付第8140号の所有権移転登記を,錯誤を原因として,原告の持分12分の1,被告X1の持分12分の11とする所有権移転登記に更正登記手続をせよ。
    (2)被告X7,被告●●市は,原告に対し,前項の更正の登記について承諾せよ。
 8(1)被告X6は,原告に対し,別紙物件目録8記載の土地について,●●地方法務局●●支局昭和48年10月27日受付第8142号の所有権移転登記を,錯誤を原因として,原告の持分12分の1,被告X6の持分12分の11とする所有権移転登記に更正登記手続をせよ。
    (2)被告●●市は,原告に対し,前項の更正の登記について承諾せよ。
 9(1)被告X6は,原告に対し,●●地方法務局●●支局昭和48年10月27日受付第8142号の所有権移転登記を,錯誤を原因として,原告の持分12分の1,被告X6の持分12分の11とする所有権移転登記に更正登記手続をせよ。
    (2)被告北海道は,原告に対し,前項の更正の登記について承諾せよ。
 10(1)被告X6は,原告に対し,●●地方法務局●●支局昭和48年10月27日受付第8142号の所有権移転登記を,錯誤を原因として,原告の持分12分の1,被告X6の持分12分の11とする所有権移転登記に更正登記手続をせよ。
    (2)被告●●市は,原告に対し,前項の更正の登記について承諾せよ。
 11 被告X8は,原告に対し,●●地方法務局●●支局昭和48年10月27日受付第8141号の所有権移転登記を,錯誤を原因として,原告の持分12分の1,被告X8の持分12分の11とする所有権移転登記に更正登記手続をせよ。
 12 被告X8は,原告に対し,●●地方法務局●●支局昭和48年10月27日受付第8141号の所有権移転登記を,錯誤を原因として,原告の持分12分の1,被告X8の持分12分の11とする所有権移転登記に更正登記手続をせよ。
 13(1)被告X6は,原告に対し,●●地方法務局●●支局昭和48年10月27日受付第8142号の所有権移転登記を,錯誤を原因として,原告の持分12分の1,被告X6の持分12分の11とする所有権移転登記に更正登記手続をせよ。
    (2)被告北海道は,原告に対し,前項の更正の登記について承諾せよ。
 14(1)被告X6は,原告に対し,別紙物件目録14記載の土地について,●●地方法務局●●支局昭和48年10月27日受付第8142号の所有権移転登記を,錯誤を原因として,原告の持分12分の1,被告X6の持分12分の11とする所有権移転登記に更正登記手続をせよ。
    (2)被告●●市は,原告に対し,前項の更正の登記について承諾せよ。
 15(1)被告X1は,原告に対し,別紙物件目録15記載の土地について,被告X1は,原告に対し,別紙物件目録3記載の土地について,●●地方法務局●●支局昭和48年10月27日受付第8140号の所有権移転登記を,錯誤を原因として,原告の持分12分の1,被告X1の持分12分の11とする所有権移転登記に更正登記手続をせよ。
    (2)被告X8,被告北海道は,原告に対し,前項の更正の登記について承諾せよ。
 16(1)被告X8は,原告に対し,別紙物件目録16記載の土地について,●●地方法務局●●支局昭和48年10月27日受付第8141号の所有権移転登記を,錯誤を原因として,原告の持分12分の1,被告X8の持分12分の11とする所有権移転登記に更正登記手続をせよ。
    (2)被告北海道は,原告に対し,前項の更正の登記について承諾せよ。
 17(1)被告X1は,原告に対し,別紙物件目録17記載の土地について,●●地方法務局●●支局昭和48年10月27日受付第8140号の所有権移転登記を,錯誤を原因として,原告の持分12分の1,被告X1の持分12分の11とする所有権移転登記に更正登記手続をせよ。
    (2)被告北海道は,原告に対し,前項の更正の登記について承諾せよ。
 18(1)被告X1は,原告に対し,別紙物件目録18記載の土地について,●●地方法務局●●支局昭和48年9月1日受付第6612号の所有権移転登記を,錯誤を原因として,原告の持分8分の1,被告X1の持分8分の7とする所有権移転登記に更正登記手続をせよ。
  (2)被告北海道は,原告に対し,前項の更正の登記について承諾せよ。
 19(1)被告X1は,原告に対し,別紙物件目録19記載の土地について,●●地方法務局●●支局昭和48年9月1日受付第6612号の所有権移転登記を,錯誤を原因として,原告の持分8分の1,被告X1の持分8分の7とする所有権移転登記に更正登記手続をせよ。
  (2)被告X2,被告X3,被告X4及び被告X5並びに被告X4は,原告に対し,前項の更正の登記について承諾せよ。
 20(1)被告X1は,原告に対し,別紙物件目録20記載の土地について,●●地方法務局●●支局昭和48年9月1日受付第6612号の所有権移転登記を,錯誤を原因として,原告の持分8分の1,被告X1の持分8分の7とする所有権移転登記に更正登記手続をせよ。
  (2)被告X2,被告X3,被告X4及び被告X5並びに被告X4は,原告に対し,前項の更正の登記について承諾せよ。
 21(1)被告X2は,原告に対し,別紙物件目録21記載の土地について,●●地方法務局●●支局昭和49年7月15日受付第4778号の所有権移転登記登記を,錯誤を原因として,原告の持分8分の1,被告X2の持分8分の7とする所有権移転登記に更正登記手続をせよ。
  (2)被告●●市は,原告に対し,前項の更正の登記について承諾せよ。
 22(1)被告X2は,原告に対し,別紙物件目録22記載の土地について,●●地方法務局●●支局昭和49年7月15日受付第4778号の所有権移転登記登記を,錯誤を原因として,原告の持分8分の1,被告X2の持分8分の7とする所有権移転登記に更正登記手続をせよ。
  (2)被告●●市は,原告に対し,前項の更正の登記について承諾せよ。
 23(1)被告X2は,原告に対し,別紙物件目録23記載の土地について,●●地方法務局●●支局昭和49年7月15日受付第4778号の所有権移転登記登記を,錯誤を原因として,原告の持分8分の1,被告X2の持分8分の7とする所有権移転登記に更正登記手続をせよ。
  (2)被告北海道は,原告に対し,前項の更正の登記について承諾せよ。
 24(1)被告X2は,原告に対し,別紙物件目録24記載の土地について,●●地方法務局●●支局昭和49年7月15日受付第4778号の所有権移転登記登記を,錯誤を原因として,原告の持分8分の1,被告X2の持分8分の7とする所有権移転登記に更正登記手続をせよ。
  (2)被告北海道は,原告に対し,前項の更正の登記について承諾せよ。
 25(1)被告X2は,原告に対し,別紙物件目録25記載の土地について,●●地方法務局●●支局昭和49年7月15日受付第4778号の所有権移転登記登記を,錯誤を原因として,原告の持分8分の1,被告X2の持分8分の7とする所有権移転登記に更正登記手続をせよ。
  (2)被告北海道は,原告に対し,前項の更正の登記について承諾せよ。
 26(1)被告X2は,原告に対し,別紙物件目録26記載の土地について,●●地方法務局●●支局昭和49年7月15日受付第4778号の所有権移転登記登記を,錯誤を原因として,原告の持分8分の1,被告X2の持分8分の7とする所有権移転登記に更正登記手続をせよ。
  (2)被告北海道は,原告に対し,前項の更正の登記について承諾せよ。
 27 訴訟費用は被告らの負担とする。


第2 請求の原因
 1 ●●●●(以下「●●」という。)と●●●●(以下「●●」という。)は夫婦である。
     被告X1(以下「被告X1」という。),A(以下「A」という。),被告X2(以下「被告X2」という。),被告X6(以下「被告X6」という。),B(以下「B」という。),C(以下「C」という。),被告X8(以下「被告X8」という。),原告は,●●と●●の子である。

 2 ●●の相続(略)

 3 ●●の相続(略)                                                     

 4 よって,原告は,各土地についての持分権に基づき(本件土地1ないし17については12分の1,その余の土地については8分の1」という。),請求の趣旨記載のとおりの判決を求める。

 5 被告らに対する求釈明-予備的請求について
  (1)以上のとおり,被告X1,同X2,同X6,同X8は,●●又は●●の所有に属していた土地について,●●又は●●が死亡した際,原告が加わって行われた遺産分割協議が存在しないのに,当該土地について単独相続による所有権移転登記手続を経由した後,後記のとおり,その全部又は一部を転売したところ,上記被告らに対する更正に係る請求が認容される場合において,その転得者又はその相続人である被告らにつき,固有の主張が採用され,いずれかに対する承諾に係る請求が認容されないときは,原告は,当該土地についての持分権を喪失することに確定することとなり,当該土地について単独相続による所有権移転登記手続をした被告は,原告に対し,不法行為に基づく損害賠償義務又は不当利得返還義務を負うこととなる。
   ア 被告X1は,被告●●市に対し,平成15年7月25日付けで本件土地2を売り渡した。
   イ 被告X1は,被告X7(以下「被告X7」という。)に対し,昭和48年12月20日付けで本件土地3を売り渡した。
   ウ 被告X1は,被告●●市に対し,平成15年7月25日付けで本件土地5を売り渡した。
   エ 被告X1は,被告X7に対し,昭和48年12月20日付けで本件土地6を売り渡した。
   オ 被告X1は,被告X7に対し,昭和48年12月20日付けで本件土地7を売り渡した。
   カ 被告X6は,被告●●市に対し,平成16年7月28日付けで本件土地8を売り渡した。
   キ 被告X6は,被告北海道に対し,平成16年7月28日付けで本件土地9を売り渡した。
   ク 被告X6は,被告●●市に対し,平成16年7月28日付けで本件土地10を売り渡した。
   ケ 被告X6は,被告北海道に対し,平成16年7月28日付けで本件土地13を売り渡した。
   コ 被告X6は,被告●●市に対し,平成16年7月28日付けで本件土地14を売り渡した。
   サ 被告X1は,被告X8に対し,昭和57年8月29日付けで本件土地15を売り渡した。
   シ 被告X8は,被告北海道に対し,平成16年8月9日付けで本件土地16を売り渡した。
   ス 被告X1は,被告北海道に対し,平成15年7月25日付けで本件土地17を売り渡した。
   セ 被告X1は,被告北海道に対し,平成3年7月25日付けで本件土地18を売り渡した。
   ソ 被告X1は,Dとの間で,昭和49年3月6日付けで本件土地19を交換した。
   タ 被告X1は,Dとの間で,昭和49年3月6日付けで本件土地20を交換した。
   チ 被告X2は,被告●●市に対し,平成9年8月28日付けで本件土地21を売り渡した。
   ツ 被告X2は,被告●●市との間で,昭和49年8月25日付けで本件土地22を交換した。
   テ 被告X2は,被告北海道に対し,平成2年12月26日付けで本件土地23を売り渡した。
   ト 被告X2は,被告北海道に対し,昭和50年3月25日付けで本件土地24を売り渡した。
   ナ 被告X2は,被告北海道に対し,昭和50年3月25日付けで本件土地25を売り渡した。
   ニ 被告X2は,被告北海道に対し,平成9年8月28日付けで本件土地26を売り渡した。

  (2)原告の損害額又は損失額を算定するに当たっては,当該土地の取引価格をもって基礎とし,そのため,当時の被告北海道又は被告●●市の買収価格を参考にするのが適切であると考えられるが,現時点で判明していない。
      そこで,次のとおり,釈明を求める。
   ア 被告X1,被告●●市に対し,本件土地2,5の各売買代金額を釈明し,これを裏付ける資料を提出すること。
   イ 被告X7,被告北海道に対し,本件土地3,6の各売買代金について,釈明を求めるとともに,これを裏付ける資料を提出すること。
   ウ 被告X7,被告●●市に対し,本件土地7の売買代金額を釈明し,これを裏付ける資料を提出すること。
    エ 被告X6,被告●●市に対し,本件土地8,10,14の各売買代金額を釈明し,これを裏付ける資料を提出すること。
    オ 被告X6,被告北海道に対し,本件土地9,13の各売買代金額を釈明し,これを裏付ける資料を提出すること。
   カ 被告X8,被告北海道に対し,本件土地15,16の各売買代金額を釈明し,これを裏付ける資料を提出すること。
    キ 被告X1,被告北海道に対し,本件土地17,18の各売買代金額を釈明し,これを裏付ける資料を提出すること。
   ク 被告X2,被告●●市に対し,本件土地21,22の各売買代金額を釈明し,これを裏付ける資料を提出すること。
   ケ 被告X2,被告北海道に対し,本件土地23ないし26の各売買代金額を釈明し,これを裏付ける資料を提出すること。


第3 本件に至る経緯
     原告は,本件に関して,平成17年9月22日,●●簡易裁判所に調停を申し立てたが(平成17年第22号 甲41,42),不調となったところ,相手方であった被告らは,時効に係る主張をしていたもようである(甲40)。
     時効については,被告らから,具体的に特定された主張がされた後に反論する。

 

                          証  拠  方  法

 甲1~26(枝番あり)   登記簿,閉鎖登記簿
 甲27~35            戸籍謄本,除籍謄本
 甲36~39        評価証明書
 甲40                      通知書
 甲41                      調停申立書
 甲42                      報告書


                          添  付  書  類

 1 訴状副本                                                10通
 2 訴訟委任状                                                 1通
 3 甲第1~42号証(一部枝番あり)                        各10通
   
                                                                    以 上
                        物  件  目  録
                                     
1 所 在  ●●市......
  地 番  134番1
  地 目  宅地
  地 積  63.31㎡
2 所 在  ●●市......
  地 番  134番2
  地 目  原野
  地 積  35㎡
3 所 在  ●●市......
  地 番  134番6
  地 目  原野
  地 積  44㎡
4 所 在  ●●市......
  地 番  134番9
  地 目  宅地
  地 積  55.60㎡
5 所 在  ●●市......
  地 番  134番11
  地 目  宅地
  地 積  26.33㎡
6 所 在  ●●市......
  地 番  134番16
  地 目  原野
  地 積  42㎡
7 所 在  ●●市......
  地 番  134番17
  地 目  原野
  地 積  5.38㎡
8 所 在  ●●市......
  地 番  134番18
  地 目  原野
  地 積  2.12㎡
9 所 在  ●●市......
  地 番  134番19
  地 目  原野
  地 積  147㎡
10 所 在  ●●市......
  地 番  134番20
  地 目  原野
  地 積  0.42㎡
11 所 在  ●●市......
  地 番  134番21
  地 目  宅地
  地 積  4.03㎡
12 所 在  ●●市......
  地 番  134番22
  地 目  宅地
  地 積  1.01㎡
13 所 在  ●●市......
  地 番  134番23
  地 目   原野
  地 積  14㎡
14 所 在  ●●市......
  地 番  134番24
  地 目  原野
  地 積  5.60㎡
15 所 在  ●●市......
  地 番  134番25
  地 目  宅地
  地 積  10.50㎡
16 所 在  ●●市......
  地 番  134番26
  地 目  宅地
  地 積  11.36㎡
17 所 在  ●●市......
  地 番  134番28
  地 目  畑
  地 積  296㎡
18(1)所 在  ●●市......
    地 番  8番1
    地 目  公園
    地 積  75897㎡
(2)所 在  ●●市......
    地 番  8番2
    地 目  公園
    地 積  11311㎡
19 所 在  ●●市......
  地 番  8番5
  地 目  山林
  地 積  1348㎡
20 所 在  ●●市......
  地 番  8番36
  地 目  山林
  地 積  15㎡
21 所 在  ●●市......
  地 番  9番1
  地 目  山林
  地 積  1283㎡
22 所 在  ●●市......
  地 番  9番2
  地 目  公衆用道路
  地 積  280㎡
23 所 在  ●●市......
  地 番  9番3
  地 目  公園
  地 積  82㎡
24 所 在  ●●市......
  地 番  9番4
  地 目  公衆用道路
  地 積  346㎡
25 所 在  ●●市......
  地 番  9番5
  地 目  公衆用道路
  地 積  104㎡
26 所 在  ●●市......
  地 番  9番6
  地 目  山林
  地 積  85㎡

                        登  記  目  録
                                     
1 ●●地方法務局●●支局 昭和48年10月27日受付第8141号所有権移転
  原因 昭和44年11月14日相続
  所有者 X8
2(1)●●地方法務局●●支局 昭和48年10月27日受付第8140号所有権移転
    原因 昭和44年11月14日相続
    所有者 X1
 (2)●●地方法務局●●支局 平成15年8月19日受付第5459号所有権移転
    原因 平成15年7月25日売買
    所有者 ●●市
(3)●●地方法務局●●支局 平成16年8月27日第5207号所有権移転
    原因 平成16年8月20日売買
    所有者 X8
3(1)●●地方法務局●●支局 昭和48年10月27日受付第8140号所有権移転
    原因 昭和44年11月14日相続
    所有者 X1
 (2)●●地方法務局●●支局 昭和53年8月9日受付第5542号所有権移転
    原因 昭和48年12月20日売買
    所有者 X7
 (3)●●地方法務局●●支局 平成16年8月27日受付第5193号所有権移転
    原因 平成16年7月28日売買
    所有者 北海道
4 ●●地方法務局●●支局 昭和48年10月27日受付第8141号所有権移転
  原因 昭和44年11月14日相続
  所有者 X8
5(1)●●地方法務局●●支局 昭和48年10月27日受付第8140号所有権移転
    原因 昭和44年11月14日相続
    所有者 X1
 (2)●●地方法務局●●支局 平成15年8月19日受付第5459号所有権移転
    原因 平成15年7月25日売買
    所有者 ●●市
 (3)●●地方法務局●●支局 平成16年8月27日受付第5207号所有権移転
    原因 平成16年8月20日売買
    所有者 X8
6(1)●●地方法務局●●支局 昭和48年10月27日受付第8140号所有権移転
    原因 昭和44年11月14日相続
    所有者 X1
 (2)●●地方法務局●●支局 昭和53年8月9日受付第5542号所有権移転
    原因 昭和48年12月20日売買
    所有者 X7
 (3)●●地方法務局●●支局 平成16年8月27日受付第5193号所有権移転
    原因 平成16年7月28日売買
    所有者 北海道
7(1)●●地方法務局●●支局 昭和48年10月27日受付第8140号所有権移転
    原因 昭和44年11月14日相続
    所有者 X1
 (2)●●地方法務局●●支局 昭和53年8月9日受付第5542号所有権移転
    原因 昭和48年12月20日売買
    所有者 X7
 (3)●●地方法務局●●支局 平成16年8月27日受付第5194号所有権移転
    原因 平成16年7月28日売買
    所有者 ●●市
8(1)●●地方法務局●●支局 昭和48年10月27日受付第8142号所有権移転
    原因 昭和44年11月14日相続
    所有者 X6
 (2)●●地方法務局●●支局 平成16年8月27日受付第5196号所有権移転
    原因 平成16年7月28日売買
    所有者 ●●市
9(1)●●地方法務局●●支局 昭和48年10月27日受付第8142号所有権移転
    原因 昭和44年11月14日相続
    所有者 X6
 (2)●●地方法務局●●支局 平成16年8月27日受付第5195号所有権移転
    原因 平成16年7月28日売買
    所有者 北海道
10(1)●●地方法務局●●支局 昭和48年10月27日受付第8142号所有権移転
    原因 昭和44年11月14日相続
    所有者 X6
 (2)●●地方法務局●●支局 平成16年8月27日受付第5196号所有権移転
    原因 平成16年7月28日売買
    所有者 ●●市
11 ●●地方法務局●●支局 昭和48年10月27日受付第8141号所有権移転
  原因 昭和44年11月14日相続
  所有者 X8
12 ●●地方法務局●●支局 昭和48年10月27日受付第8141号所有権移転
  原因 昭和44年11月14日相続
  所有者 X8
13(1)●●地方法務局●●支局 昭和48年10月27日受付第8142号所有権移転
    原因 昭和44年11月14日相続
    所有者 X6
 (2)●●地方法務局●●支局 平成16年8月27日受付第5195号所有権移転
    原因 平成16年7月28日売買
    所有者 北海道
14(1)●●地方法務局●●支局 昭和48年10月27日受付第8142号所有権移転
    原因 昭和44年11月14日相続
    所有者 X6
 (2)●●地方法務局●●支局 平成16年8月27日受付第5196号所有権移転
    原因 平成16年7月28日売買
    所有者 ●●市
15(1)●●地方法務局●●支局 昭和48年10月27日受付第8140号所有権移転
    原因 昭和44年11月14日相続
    所有者 X1
 (2)●●地方法務局●●支局 昭和57年9月1日受付第5515号所有権移転
    原因 昭和57年8月29日売買
    所有者 X8
 (3)●●地方法務局●●支局 平成16年12月7日受付第7508号所有権移転
    原因 平成16年8月9日売買
    所有者 北海道
16(1)●●地方法務局●●支局 昭和48年10月27日受付第8141号所有権移転
    原因 昭和44年11月14日相続
    所有者 X8
 (2)●●地方法務局●●支局 平成16年12月7日受付第7508号所有権移転
    原因 平成16年8月9日売買
    所有者 北海道
17(1)●●地方法務局●●支局 昭和48年10月27日受付第8140号所有権移転
    原因 昭和44年11月14日相続
    所有者 X1
 (2)●●地方法務局●●支局 平成15年8月19日受付第5461号所有権移転
    原因 平成15年7月25日売買  
    所有者 北海道
18(1)●●地方法務局●●支局 昭和48年9月1日受付第6612号所有権移転
    原因 昭和46年3月20日相続
    所有者 X1
 (2)●●地方法務局●●支局 平成3年7月26日受付第3860号所有権移転
    原因 平成3年7月25日売買
    所有者 北海道
19(1)●●地方法務局●●支局 昭和48年9月1日受付第6612号所有権移転
    原因 昭和46年3月20日相続
    所有者 X1
(2)●●地方法務局●●支局 昭和49年6月15日受付第4139号所有権移転
   原因 昭和49年3月6日交換
   所有者 D
(3)●●地方法務局●●支局 平成6年11月18日受付第6712号所有権移転
   原因 平成6年10月25日相続
   所有者 X4
20(1)●●地方法務局●●支局 昭和48年9月1日受付第6612号所有権移転
    原因 昭和46年3月20日相続
    所有者 X1
 (2)●●地方法務局●●支局 昭和49年6月15日受付第4139号所有権移転
    原因 昭和49年3月6日交換
    所有者 D
(3)●●地方法務局●●支局 平成6年11月18日受付第6712号所有権移転
    原因 平成6年10月25日相続
    所有者 X4
 (4)●●地方法務局●●支局 平成9年9月5日受付第5515号所有権移転
    原因 平成9年8月28日売買
    所有者 北海道
21(1)●●地方法務局●●支局 昭和49年7月15日受付第4778号所有権移転
    原因 昭和46年3月20日相続
    所有者 X2
 (2)●●地方法務局●●支局 平成9年9月29日受付第5978号所有権移転
    原因 平成9年8月28日売買
    所有者 ●●市
22(1)●●地方法務局●●支局 昭和49年7月15日受付第4778号所有権移転
    原因 昭和46年3月20日相続
    所有者 X2
 (2)●●地方法務局●●支局 昭和49年8月20日受付第5598号所有権移転
    原因 昭和49年8月5日交換
    所有者 ●●市
23(1)●●地方法務局●●支局 昭和49年7月15日受付第4778号所有権移転
    原因 昭和46年3月20日相続
    所有者 X2
 (2)●●地方法務局●●支局 平成3年1月10日受付第112号所有権移転
    原因 平成2年12月26日売買
    所有者 北海道
24(1)●●地方法務局●●支局 昭和49年7月15日受付第4778号所有権移転
    原因 昭和46年3月20日相続
    所有者 X2
 (2)●●地方法務局●●支局 昭和50年4月14日受付第2345号所有権移転
    原因 昭和50年3月25日売買
    所有者 北海道
25(1)●●地方法務局●●支局 昭和49年7月15日受付第4778号所有権移転
    原因 昭和46年3月20日相続
    所有者 X2
 (2)●●地方法務局●●支局 昭和50年4月14日受付第2345号所有権移転
    原因 昭和50年3月25日売買
    所有者 北海道
26(1)●●地方法務局●●支局 昭和49年7月15日受付第4778号所有権移転
    原因 昭和46年3月20日相続
      所有者 X2
 (2)●●地方法務局●●支局 平成9年9月5日受付第5512号所有権移転
    原因 平成9年8月28日売買
    所有者 北海道

〔裁判所名〕 札幌地方裁判所民事第1部判決
〔判決日付〕 平成9年1月10日
〔事件番号〕 平成7年(ワ)第5132号
〔事 件 名〕  交通事故に関する損害賠償請求事件
〔登載文献〕 判例タイムズ990号228頁

 

 

       主   文

 一 被告は、原告X1に対し金四〇七九万二六四〇円、原告X2及びX3に対し各二〇三九万六三二〇円、及びこ
れらに対する平成六年七月一四日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
 二 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
 三 訴訟費用はこれを一〇分し、その四を原告らの負担とし、その余を被告の負担とする。
 四 この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。

       理   由

第一 請求
 被告は、原告X1(以下「原告X1」という。)に対し金六三六六万一六一一円、原告X2(以下「原告X2」という。)及び原告X3(以下「原告X3」という。)に対し各金三一八三万〇八〇五円、及びこれらに対する平成六年七月一四日から支払済みまで年五パーセントの割合による金員を支払え。
第二 事案の概要
 本件は、信号機により交通整理の行われている交差点を青色表示に従って直進して通過しようとした普通乗用自動車が、左方から赤色表示を無視して同交差点に進入してきた普通乗用自動車に衝突され、被害車両の同乗者が死亡した事故につき、被害者の妻子が、自賠法三条、民法七〇九条に基き、加害車両の運転者に対して損害の賠償を求めた事案である。
 一 争いのない事実等(証拠を掲げた事実以外は争いのない事実である。)
  1 交通事故(以下「本件事故」という。)の発生
   (一) 発生日時 平成六年七月一四日午前六時三五分ころ
   (二) 発生場所 札幌市中央区北四条西一丁目四番地
   (三) 加害車両 被告が運転していた普通乗用自動車
   (四) 被害車両 A(以下「亡A」という。)が同乗していた普通乗用自動車(札五一の一六六九)
   (五) 事故態様 被害車両が信号機により交通整理の行われている交差点を信号機の青色表示に従い東から西へ直進通過しようとしたところ、被告が信号機の赤色表示を無視して加害車両を南から北へ運転して交差点に進入し、被害車両に衝突した。
   (六) 結果   亡Aは、外傷を負い札幌市立病院に入院したが、平成六年七月一四日午前七時三四分、外傷性ショックにより同病院で死亡した。
  2 法定相続
 原告X1は亡Aの妻、原告X2(昭和三四年一一月八日生、甲三)及び原告X3(昭和三八年五月二〇日生、甲三)はいずれも亡Aの子であり、ほかに亡Aの相続人はいない。したがって、原告X1、原告X2及び原告X3の各相続分は、順に二分の一、各四分の一の割合である。
  3 責任原因(自動車損害賠償保障法三条、民法七〇九条)
 被告は、加害車両を自己のために運行の用に供しており、赤信号の表示に従って停止すべき義務に違反した過失により本件事故を発生させた過失があるから、自賠法三条、民法七〇九条により、原告らの損害を賠償する義務がある。
  4 損害の填補
 原告は、被告から損害の填補として一二万一八三八円の支払を受けた。
 二 争点
 損害額全般
第三 判断
 一 損害額(各費目の括弧内は原告ら請求額)
  1 亡Aに生じた損害
   (一) 治療費(一二万一八三八円)
         一二万一八三八円
 亡Aは、平成六年七月一四日、札幌市立病院に入院して治療を受けたところ、その治療費は一二万一八三八円である(争いがない)

   (二) 逸失利益(八〇二三万九八二四円)
       四八一八万五二八〇円
 (1) 証拠(甲三、九、一〇、一一の1、2、一四ないし一六、一八ないし二一、二三ないし二六、二八、二九、三一、証人B)によれば、次の事実が認められる。
 ① 亡Aは、本件事故当時六一歳(昭和八年一月一六日生)の健康な男性で、昭和二七年四月に家具製作所に職人として就職し、昭和三一年四月には独立してC家具製作所を創業し、昭和四一年八月にはC家具製作所を法人化して株式会社Dを設立して
紳士服や婦人服等の衣料品の販売も手がけるようになり、昭和五八年二月に株式会社Dの商号をE株式会社(以下「E」という。)に変更した。平成元年には出資者を募って温泉ホテルの経営を目的とする株式会社F(以下「F」という。)を設立し、また、平成三年には、赤字が累積した有限会社の出資全部を引き取って有限会社G(以下「G」という。)に商号を変更し、平成五年にはEで扱っていた高級婦人服部門等を扱うようになった。
 ② 亡Aは、Eの発行済株式総数四万八八〇〇株のうち二万七〇四〇株(亡Aの家族が所有する分も合わせると三万四二五九株)を、Fの発行済株式総数四〇六株のうち八〇株をそれぞれ保有し、Gについては出資口すべてを保有するとともに、本件事故当時、右三社のいずれにおいても代表取締役をしており、業務全般の調整・総括から仕入れや現場の指導まで業務全般に従事していた。
 ③ 亡Aが死亡する前三期のE、G及びFの各業績(一万円未満切捨)はEにおいて、第二六期(平成三年二月一日から平成四年一月三一日)が売上高一三億七〇七一万円、営業利益四四三七万円、経常利益二四三万円及び当期純利益五八三万円、第二七期(平成四年二月一日から平成五年一月三一日)が売上高一一億八六五四万円、営業利益三三二六万円、経常利益一五四五万円及び当期純利益三八八万円、第二八期(平成五年二月一日から平成六年一月三一日)が売上高一〇億二一八
九万円、営業利益一九七万円、経常損失一八四二万円、当期純損失一五四一万円であり、Gにおいて、第四期(平成三年二月二一日から平成四年二月二〇日)が売上高九七七九万円、営業損失六一一万円、経常損失七〇〇万円、当期純損失七〇〇万円、第五期(平成四年二月二一日から平成五年二月二〇日)が売上高三二三三万円、営業損失五七五万円、経常損失五七六万円、当期純利益四五万円、第六期(平成五年二月二一日から平成六年二月二〇日)が売上高一億二九九三万円、営業利益一七五五万円、経常利益一六六六万円、当期純利益一六〇一万円であり、Fにおいて、第三期(平成三年五月一日から平成四年四月三〇日)が売上高一億二九九六万円、営業損失七三四万円、経常損失一三三五万円、当期純損失一三三五万円、第四期(平成四年五月一日から平成五年四月三〇日)が売上高一億三八二八万円、営業利益八四六万円、経常利益一一九万円、当期純利益一一九万円、第五期(平成五年五月一日から平成六年四月三〇日)が売上高一億四四六七万円、営業利益四四七万円、経常損失二三五万円、当期純損失二三五万円であった。
 ④ 亡Aは、平成五年度は、Eから八四〇万円、Gから一二〇万円の合計九六〇万円の報酬を受けており、Fについては、経営が黒字になるまでは役員報酬の受取を辞退するとの意向から報酬を受取っていなかった。同年度において、Eで亡Aに次いで収入の高い専務取締役であるB(以下「B」という。)の収入は五一七万五〇〇〇円であり、Bは、GとFの取締役も兼任し、Gから九六万円の報酬を受けていた。
 ⑤ 亡Aには身内にこれといった後継者はおらず、亡Aが死亡したため一時的にその妻がE及びGの代表取締役に就任したが、その後はBがEの代表取締役に就任し、平成七年からはGの営業をEが行っている。
 なお、本件事故当時、原告X2はすでに婚姻をし、亡Aとは生計をともにしていない。
 (2) これらの事実によれば、亡Aは、本件事故により死亡しなければ、満六一歳から満七一歳まで平均余命一九・六六年(平成六年簡易生命表)の約二分の一である一〇年間は働くことが可能であったと推認され、その間、少なくとも年収九六〇万円を下らない収入を得ることができたと認めるのが相当である。そして、亡Aの年齢、稼働状況や家族構成等を考慮すると、その間の生活費として三割五分を控除するのが相当であるから、それらを前提に、ライプニッツ方式(係数は七・七二二)により年五分の割合による中間利息を控除し、亡Aの死亡当時における逸失利益の現価を算定すると、四八一八万五二八〇円となる。
 9,600,000×(1-0.35)×7.722
 =48,185,280
 (3) 原告らは、Fにおいて、平成六年六月二三日に開催された取締役会において、翌七月から亡Aに対して月額三五万円の役員報酬を支給することが決議されていたのであるから、亡Aは本件事故に遭わなければこの分を加えた一三八〇万円を下らない年収を本件事故から一一年間にわたって得ることができたと主張し、証人Bも、亡Aは、Fについては、経営が黒字になるまでは役員報酬を受け取らないとの意向から無報酬であったが、平成六年六月二三日の取締役会において、減価償却等の損失分がそれほど大きくなく、第四期及び第五期の営業利益が黒字であったことから多少利益を生じる見通しがついたので月額三五万円の役員報酬を支払うことにし、取締役会議事録(甲一二)を作成する間に亡Aが本件事故により死亡したと、おおむねこれに副う供述をし、同趣旨のB及びHの各陳述書(甲二九、三二)も存在する。
 しかしながら、Fの業績について、たしかに第四期及び第五期と営業利益は出ているものの、第五期の方が半減し、第四期のわずかな経常利益も第五期では損失になっており、取締役会議事録作成の時期や体裁(同一人物が各取締役の署名をしている。甲一二)を併せ考えると、B証言やそれと同趣旨の前記各陳述書の信用性に疑問がないではなく、仮に信用できるとしても、右のとおりのFの業績に加え、経営が黒字になるまでは役員報酬を受取らないとの亡Aの意向を総合すると、本件事故に遭わなければ、亡Aが今後もこうした報酬を受け続けることができたとまではいえないというべきである。もっとも、亡Aの業務内容に照らせば、Fからある程度報酬を受取ってもおかしくはないが、死亡当時は現実に受取っていなかったのであり、E、G及びFの当時の業績に照らして予測されるところの将来の業績や、亡Aの年齢に照らした就労可能期間や就労程度等の不確定要素をも総合考慮すると、亡Aは、本件事故に遭わなかったとして、原告主張の一一年間はもちろん、平均余命の約二分の一である一〇年間であっても、その期間を通して死亡当時現実に得ていた年収九六〇万円を上回る収入を得ることができたとまで推認するには足りないといわざるを得ない。
 他方で、被告は、後継者のいない中小企業の代表者の大半は年金の下りる六〇歳まで現役で働き、その後は会長等の名誉職的立場に退いて実質的には働かないのであるから、就労可能年齢は六七歳までとし、六〇歳から六七歳までは賃金センサスによるべきであると主張するが、後継者のいない中小企業の代表者の稼働状況を裏付ける証拠はなく、亡Aは本件事故当時すでに六〇歳をすぎて健康かつ現役で働いていたのであるから、被告の主張は採用できない。
 被告は、会社役員の報酬中には、労働の対価以外に持株に対する利益配当部分が含まれており、役員が死亡した場合、その部分については、株式の相続人が利益配当として取得できるから、損害が発生したとはいえないとも主張するが、亡Aの稼働状況及び年収、Bの年収との対比、E及びGの業績等に照らすと、かえって、死亡当時得ていた収入は、すべて亡Aの労務の対価であると評価するのが相当である。したがって、この点においても、被告の主張は採用できない。
   (三) 慰謝料(二七〇〇万円)
           二四〇〇万円
 亡Aの受傷内容、死亡に至る経過、年齢及び家庭環境等の諸事情に加え、本件事故の態様をも考慮すると、本件事故による受傷及び死亡による慰謝料としては、二四〇〇万円が相当である。
  2 原告らに生じた損害
 亡Aの葬儀費(八五〇万八五六〇円)
            二〇〇万円
 甲第一三号証によれば、原告らは、亡Aの葬儀関係費用として八五〇万八五六〇円を支出したことが認められ、このような高額な費用がかかったのが、亡Aの年齢や職業上の地位(特に複数の企業の代表取締役であった点)によることは否定できないところであるから、このような事情をも考慮すると、本件と相当因果関係のある葬儀費用としては二〇〇万円が相当と認められ、弁論の全趣旨によれば、原告らはそれを各相続分に従った割合で負担したものと認められる。
 二 損害の填補
 原告らは、本件事故に関して自動車損害賠償責任保険から亡Aの治療費として一二万一八三八円の支払を受けており、弁論の全趣旨によれば、それは、原告らが有する損害賠償請求権にその相続分に従った割合で充当されたものと認められ、その結果、原告らが被告に対し、損害賠償として請求しうる金額は合計七四一八万五二八〇円(原告X1が三七〇九万二六四〇円、原告X2及び原告X3が各一八五四万六三二〇円)となる。
 三 弁護士費用(原告X1につき五七八万七四一九円、原告X2及び原告X3につき各二八九万三七〇九円)
 原告X1につき三七〇万円、原告X2及び原告X3につき各一八五万円
 原告らは本件損害賠償請求事件の追行を原告ら訴訟代理人に委任し(争いがない)、本件における認容額、審理の内容及び経過等に照らすと、本件事故と相当因果関係にある弁護士費用としては七四〇万円が相当と認められる。そして、弁論の全趣旨によれば、原告らはこれを各相続分に従った割合で負担したものと認められるから、その負担額は、原告X1が三七〇万円、原告X2及び原告X3が各一八五万円である。
第四 結論
 以上によれば、原告らの各請求は、被告に対し、原告X1につき四〇七九万二六四〇円、原告X2及び原告X3につき各二〇三九万六三二〇円とこれらに対する平成六年七月一四日(本件事故発生日)から各支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。
(裁判官山崎秀尚)

平成20年第20●●号報酬金請求事件
次回期日 平成22年5月19日午後3時30分
                                      原    告   株式会社○○○○○
                                      被    告   株式会社●●●●●
                                                                           
                準    備    書    面

                                                        平成22年5月18日

札 幌 地 方 裁 判 所 民 事 第 ●部 2 係 御中

                         原告訴訟代理人弁護士  前  田  尚  一 


第1 今後の進行について
 1 担当裁判官は,平成22年3月18日の第9回弁論準備手続期日において,当職に代わって出頭した原告訴訟復代理人に対し,《5月12日までに原告の主張を再検討し,準備書面を提出するとともに,本訴訟の進行についても再検討する》ように指示した(同期日調書。)。
     しかしながら,同年2月3日の第8回弁論準備手続期日においては,担当裁判官は,同月2日付け原告準備書面を陳述扱いとしないままとし,被告訴訟代理人に対しては,同書面の内容を踏まえ,争う部分とそうでない部分を検討した上,《3月11日までに本件における争点について再確認のうえ,準備書面を提出》することを指示していたのであり(同期日調書),被告が争うとする部分を踏まえ,原告において,上記準備書面をコンパクトにするなりして適切な対処をし,平成第9回弁論準備手続期日において,実質的な争点整理が完了するはずであった(調書中の「本件請求を再構築したい」というのは,いささか大袈裟な表現である。)。
   
     ところが,第9回弁論準備手続期日においては,被告準備書面が提出されていない状況において,担当裁判官は,後記のとおり,第8回弁論準備手続期日における当事者に対して準備を指示する前に述べたことを蒸し返し,上記原告準備書面(「第1 本件WEB構築契約の構成について」)において,本件WEB構築契約について三つの構成を示してする主張の趣旨が分からないと述べて,相手方訴訟代理人は,これに乗じて,このような趣旨の分からない準備書面に対しては反論のしようがないと述べ,担当裁判官は「もう一度主張の趣旨を明確にされないと相手方も反論のしようがないですよ。」と述べ,原告訴訟復代理人に対し,原告から準備書面を提出するよう指示したとのことである。
     なお,当事務所において本件は当職が担当であるが,同月15日が疾患が判明し,急を要するため翌16日入院同日手術施行という事態となり,当職に代わって原告訴訟復代理人が出頭したものである。
     こうして,同期日までの1か月半が経過する間,被告訴訟代理人から予定の準備書面を提出しないとの連絡はもとより,担当裁判官からの期日外釈明等の処置もないまま迎えた期日は空転したばかりか,第8回弁論準備手続期日の当初の状況までタイムスリップしたまま,担当裁判官の必要とする争点整理が,年度を変えた次回期日まで持ち越されることとなり,担当裁判官も交代することになってしまった。
     
 2 当職が平成22年2月2日付け準備書面に提出したのは,第7回弁論準備手続期日において,担当裁判官から,《本件WEBサイト構築について,正式に被告から原告に発注された時期及び内容について,甲第22号証を踏まえて主張を整理する》よう指示を受けたからである(調書)。
     第6回弁論準備手続期日において,当職は,担当裁判官から,被告準備書面に対する認否・反論を記載した準備書面及び申出済み証人の陳述書を提出するよう指示されていた。しかし,原告側において,陳述書を作成するために事実経過を関連証拠と照らす作業に思いのほか手間取り,甲第76号証を提出したものの(なお,甲80),上記準備書面を提出することができなかった。
   
     もとより,このことは原告側の不手際であり,担当裁判官から,次回期日前に上記の認否・反論を記載した準備書面を提出するよう再度指示されるのは当然のことであるが,担当裁判官は,当職に対し,新たに《本件ウェブサイト構築について,正式に被告から原告に発注された時期及び内容について,甲第22号証を踏まえて主張を整理する》ことを新たに指示した。
     しかし,上記の正式に発注された時期及び内容については,例えば,原告は,訴状の第2の2(1)(2頁),平成21年2月27日付け準備書面の第1の1ア(2頁),第4の7(10頁)において,被告は,平成20年11月11日付け準備書面の第2の1(1)(3頁),平成21年9月1日付け準備書面で,それぞれの立場から既に主張を明らかにしていたところである。
     また,甲第22号証についても,例えば,原告は,上記原告準備書面の第4の7(10頁)で正式発注との関連で主張し,被告は,平成21年4月27日付け準備の3でこれに反論していたものであり,当職としては,担当裁判官が,この時期になって改めて,上記のような釈明を求めたのは,不可解なことであった。
   
 3 本件訴えが提起されたのは平成20年7月16日であって,本件訴訟は長期化している。

     被告は,本件の事実関係が錯綜していることを背景として(第2回口頭弁論調書中の記載),第1,2回口頭弁論までに請求原因に対する認否ができず,同年11月19日の第1回弁論準備手続期日になって同月11日付け準備書面書面を陳述してこれを完了したものであること,原告も,同弁論準備手続期日に事実関係ないし主張を記載した書面を提出することとたったが,関連証拠(甲第14ないし74号証)の整理に加え,これらに照らして整合性を確認しながら,事実経過を整理することに手間取り,平成21年2月27日付け準備書面を陳述したのが同年3月2日の第2回弁論準備手続になってしまったこと等々,各当事者が準備をするのにに時間を要したことも,本件訴訟が長期化した原因であることは自覚している。

     しかしながら,第2回弁論準備手続以降,被告が,同年4月27日付け,同年7月7日付け,同年9月1日付け,同年10月8日付けの各準備書面を連続して提出し,同年10月15日の第6回各弁論準備期日までの間4回開かれた各弁論準備手続期日で順次陳述するという経過を辿り,担当裁判官の考えに照らし上記原告準備書面に対する認否・反論が完了したとされるまで7か月余りの期間を要することとなった。
     前述のとおり,第1回弁論準備手続期日において,平成20年11月11日付け被告準備書面が陳述され,遅くともこれによって,本件の紛争の実態は浮かび上がっていたもので,この時点で,原被告間に本件WEBサイトを構築する請負契約が成立していること,一定のWEBサイトが完成していることに争いはなく,争点となるのは,本件WEBサイト構築の代金額とその確定する過程であることは明らかとなっていた。
     このような場合,裁判所が,事件全体を的確に見通した上で,整理すべき間接事実や事情の外郭を個別具体的に特定して示すなどして適切に釈明を求めていけば,被告も,裁判所の明確な意向に応じた認否・反論を速やかに終えることも可能であったと思われる。
     しかし,当職の主観的認識ではあるが,担当裁判官の求釈明は,積極的ではあるものの,被告準備書面が提出されるたびに,新たな疑問を提示して不足を包括的あるいは抽象的に指摘するというものであった。
   
     また,担当裁判官は,本件WEB構築契約における合意内容を検討するに当たって,同じ請負契約の範疇とはいえ,システム開発委託契約とは,その性質,特に合意内容の確定プロセスにおいて大きく異なる建物建築工事請負契約を喩えにして議論しようとし,当職の印象としては,WEBサイト構築に係る契約の法的理解がいささか不十分であるように思われた。
     そのため,当職としては,後に法的観点からの議論が再燃し,更に長期化することを危惧して,「第1 本件WEB構築契約の構成について」の部分を記載した平成22年2月2日付け原告準備書面を提出した。
   
     同記載部分は7頁に及ぶものではあるが,上記の趣旨で起案したものであるから,一見すれば明らかなとおり,選択的主張の体裁をとって,本件WEB構築契約をシステム開発委託契約の一形態又は類似のものとして理解する場合においてあり得る法的構成を形式的に示したうえ,それぞれの構成に合わせて,それまでに原告が第2回弁論準備手続期日までに主張し,被告が第6回弁論準備期日までに認否を完了していた事実関係を繰り返し述べたにすぎないものであった。
     したがって,本件WEBサイトを構築する請負契約が成立していることは争っていない被告に,原告が選択的主張の体裁で示した法的構成から採用するものを選んでもらえさえすれば,「第1 本件WEB構築契約の構成について」の役目は終わるものであった。
     しかるに,担当裁判官の訴訟指揮は,前記1(1)で述べたとおり,まず被告に対応させることを前提として,第9回弁論準備手続期日に持ち越したうえ,同期日においては,同期日を空転させ,第8回弁論準備手続期日の状態まで逆戻りさせたというほかないものであった。
   
     ただ,第8回弁論準備手続期日以降の時間の経過において,原告としても再度ふり返りをする過程で,甲第81ないし83号証が見付かったことは,不幸中の幸いであった。後記第2以下でこれらを引用する。
   
 4 以上述べた経緯は,当職の主観的認識に基づくものに過ぎないが,いずれにしても,原告としては,裁判所が必要と考える争点整理を早期に完了させ,速やかに証拠調べ行ったうえ結審し,判決をいただきたいと考えている。
     当職としては,本準備書面を,従来の担当裁判官の指示をそのまま受け,意向に沿っているつもりで提出するものであるが,裁判所の意向にそぐわないのであれば,具体的に特定した求釈明をいただければ,無条件に直ちに対応する考えである。
   
     なお,従前の担当裁判官は,第9回弁論準備手続期日において,原告訴訟復代理人に対し,被告訴訟代理人に被告の現状の説明を求めた上,原告訴訟復代理人に対し,《本訴訟の進行についても再検討する》よう要請しているが(調書),原告としては,第8回弁論準備手続期日において,当職が《被告が,破産等の法的整理による会社の清算を選択しない限り,本件訴訟は継続させる》(調書)と明確に表明したとおり,本件訴訟を取り下げる考えはない。


第2 本件WEB構築契約に基づくの代金請求の根拠
     以下は,第9回弁論準備手続期日における《原告の主張を再検討し,準備書面を提出》すべしとの担当裁判官の指示に従い,平成22年2月2日付け原告準備書面の「第1 本件WEB構築契約の構成について」の部分を書き改めるものである。
     もっとも,被告が本件ECサイトの構築に係る代金額を争っているが,その発生原因となる本件WEBサイト構築契約の成立自体は争っておらず,裁判所は,その構成について,原告が従前から主張しているもので足りると考えているという前提で,従前から原告の主張を敷延して述べるものである。
     また,事実関係の主張については,後記2(1)ウ(ア)において,甲第81号証に係る説明部分を追加したほか,従前の主張と同様である。
   
     もし仮に上記前提が,当職の誤った認識による思い込みであるということであれば,被告は,本件WEB構築契約の法律構成を明らかにして具体的な反論をしていただきたい。
   
                                                  (以下略)


第3 被告第5準備書面に対する再反論(略)


第4 本件に至る経緯
     本件に至る全般的な経緯の詳細は,次のとおり訂正するほかは,平成21年2月27日付け原告準備書面の「第4 本件に至る経緯」(7頁以下)に記載とおりである。なお,訂正部分は,甲第81ないし83号証を踏まえ,検討し直したものである。
     したがって,既に上記箇所に対する認否・反論を終えている被告には,速やかな認否・反論が可能であると思料される。
   
   
                                                  (以下略)

平成21年第3●●号 慰謝料請求控訴事件
控訴人 X1外1名
被控訴人 Y
                                     
                    上    申    書
                            
                                                          平成22年4月2日

札 幌 高 等 裁 判 所 第 ● 民 事 部 御中

       被控訴人代理人弁護士   前田尚一 


 上記当事者間の頭書事件について,御庁は,平成22年4月15日午後1時10分の判決言渡期日を取り消し,同日午後4時を和解期日と指定したが,被控訴人としては全く納得できない措置であり,上記和解期日を取り消し,すみやかに判決言渡期日を指定されたく,上申する。その理由は,次のとおりである。
 なお,本上申は,訴訟運営についての被控訴人の希望を述べるものであって,新たに主張を追加し,又は従前の主張を補充するものではなく,弁論の再開を求める趣旨のものではない。

1 被控訴人は,一貫して和解について消極的姿勢を明らかにしていたところであって,平成22年3月26日の和解期日で,被控訴人の最終的結論として和解する意思がないことを明確に表明したにもかかわらず,冒頭記載のような措置が執られたことは,被控訴人及び訴訟代理人としては,極めて遺憾なことである。

  御庁は,第1回口頭弁論期日において,即日弁論を終結したうえ,和解勧告をし,同日引き続き,受命裁判官によって事実上の面談・協議(?)が実施された。
     当職は,被控訴人との事前の打ち合わせを踏まえ,被控訴人が和解について消極的であることを表明し,被控訴人側から和解案を提示する考えもないことを明らかにした。なお,当然のことであるが,その際,受命裁判官に対し,この結論は,単に当職の弁護士としての見解にとどまらず,被控訴人との協議に基づくものであることを十全に説明したつもりである。
     しかし,受命裁判官からは,控訴人らが次回までに和解案を提示する意向であるので,この場で和解を断ることは控え,控訴人らから和解案を見るだけ見てから最終判断として欲しいと強く要請されたので,当代理人としては,裁判所の立場を尊重して,これを受け入れた。

  平成22年3月4日の和解期日において,控訴人らから控訴人X1作成の別添の和解案が提示されたが,本件紛争の経緯及び施設における労使関係の現状に照らすと,被控訴人としては,受容できる内容ではなかったし,さりとて,これを前提として(つまり,その本質的部分の同一性を維持する前提で)対案を提示することは形式的にも無理であることが一見して明らかであった。
     そこで,当職は,受命裁判官に対し,和解による訴訟の終了については,もともと消極的であることを再度申し述べた上,控訴人らからの和解案を見た現時点でも,同様であることを表明した。
     しかし,それでも,受命裁判官は,直ちにこの場で断るのではなく,一旦は持ち帰り,被控訴人と検討するプロセスを経て欲しい旨要請したので,持ち帰ったとしても被控訴人としての結論が変わりようがないとの限りなく既成に近い予測を述べ,次回提示する回答を最終的結論として受け入れて欲しい旨を明らかにしたうえ,裁判所のたっての要請としてやむを得ないものとして持ち帰った。
   
  そして,被控訴人の意向を確認したが,やはり,被控訴人の最終的結論を変更する余地はなく,平成22年3月26日の和解期日において,これを伝えることとし,同期日において,和解勧告が打ち切られ,第1回口頭弁論期日で指定された期日に,破棄差戻し後の控訴審としての判決が言い渡され,ようやく長年の訴訟が終息するものと確信していた。
     ところが,当職の身体に故障が生じ,被控訴人の最終的結論を裁判所に伝えるよう復代理人に託しところ,受命裁判官は,復代理人の発言に全く耳を貸そうとせず,判決言渡期日を取り消す旨宣告した上,同日を和解期日として指定した。
   
  和解に応じない当事者の意思が明らかである場合には,裁判を受けることはは,憲法上保障された国民の権利であり,たとえ裁判所が和解による方が紛争の実情に即した解決につながると信じる場合であっても,和解期日を繰り返すことは,裁判制度の利用を不当に制限することになりかねないから,そのような処理は厳に避けなければならないというべきところ,以上の経過から明らかなとおり,本件は,和解による方が紛争の実情に即した解決となるとする受命裁判官の見解が適切であるかはともかくとしても,被控訴人が和解による訴訟の終了には消極的であることを明らかにし続けていたことに加え,平成22年3月26日の和解期日で,最終的結論として和解する意思がないことを明確に表明したにもかかわらず,いきなり平成22年4月15日午後1時10分の判決言渡期日を取り消し,同一の日時を和解期日と指定する措置をとったことは,不相当であるというほかない。


2 そればかりか,上記措置に至るまでの受命裁判官の和解勧試の方法は,被控訴人の考えを全く軽視する強引なものであって,著しく不相当なものであるといわざるを得ない。
   すなわち,当職は,平成22年3月26日の和解期日に先立ち,被控訴人との間で最終的な結論を再確定していたが,身体の故障のため同期日に出頭できない事情が発生したため,同最終的結論の表明を訴訟復代理人に託し,同復代理人は,その役割を果たそうとした。
   しかるに,被控訴人としては,和解期日を繰り返すものと考えざるを得ない状況ではあったものの,受任裁判官は,同期日までは,念のため持ち帰って欲しいとか,それまで対案だけでも提示して欲しいという説得にとどまっていたが,同復代理人が当職のメッセージを伝えた途端,被控訴人代表者又は本件に詳しい関係者の話を聞きたいとか,任意に応じないのであれば別の手続で出頭させることもできるし,とにかくこれらの者に話を聞きたいというのが合議体で達した結論である,合議体が一度話を聞きたいという意向を持っていることを重く受け止めて欲しいなどと,発言するに至った。
   同復代理人は,当職に何度も携帯電話にて状況を知らせ指示を求めながら対応したものの,結局,受命裁判官に押し切られ,冒頭の措置が執られることになった。
   受命裁判官の発言が,どこまでが合議体でのコンセンサスに基づくものであるのかは判然とせず,「別の手続」の中身も明示していないが,破棄差戻し後の控訴審である御庁が弁論を終結したにもかかわらず,弁論再開の上,被控訴人代表者本人尋問を実施することまでも示唆しようとしたものではないであろう。
   しかし,たとえ民訴規則32条1号に基づく当事者本人の出頭命令を想定した発言であったとしても(そうであるなら,そう明示すればよいとも思うが。),本件訴訟の経緯,本件紛争の性質に照らすと,被控訴人代表者に出頭を命じることはもちろん相当ではないし,これを示唆する発言をすること自体が,被控訴人と訴訟代理人が長年築き上げてきた信頼関係を軽視するものであることに加え,強制的な言辞を使用する説得行動ともとられかねない不適切な和解の勧め方であるといわなければならない(なお,旧民訴法においては,136条2項の規定があったが,同項に基づく出頭命令は,任意の協力を求めるものであり,和解手続における付随的な事項であることから,規則化することになったものであって,安易,便宜的に利用すべきものではない。)。
   すなわち,同条項は,訴訟代理人が和解の特別委任(民訴法55条2項2号)を受けていない場合のみを対象とするものではないとしても,本来的には,形式的には委任関係があっても,訴訟代理人と当事者本人の意思疎通が欠落し,訴訟代理人の行為に当事者本人の意思が反映されていないと窺われるような場合であるとか,訴訟代理人があまりに無能で全く頼りなく,裁判所が後見的役割を果たさなければ当事者の利益が損なわれるような場合を想定していると考えられる。
   しかしながら,後者に当たると指摘されるならば反論のしようはないが,少なくとも,当職と被控訴人は,本件紛争発生後において,本件紛争についてはもとより,それ以前から労使関係に係る問題全般について,議論や検討を重ねてきたものであり,本件差戻し後も,度重なる打合せを経て期日に臨んでいる。
   しかるに,上記のような強制的とも思われかねない示唆をしてまで和解を成立させようとする受命裁判官の対処は,長年に亘って当職と被控訴人が培ってきた信頼関係と随時行う慎重な検討を全く軽視するものであって,畢竟,被控訴人の確定した意思を蔑ろにするものというほかない。


3 ところで,本件上告審判決は,言渡し後直ちに裁判所のWebサイトに登載掲載されたことに加え,破棄差戻し後の控訴審である御庁の第1回口頭弁論期日に前後して,判例タイムズ第1313号(平成22年2月15日号)115頁,判例時報第2063号(平成22年3月1日号)6頁で,速やかに紹介されている。

   上記判例誌においては,解説者の批評が判決内容に及ぶ場合であっても,《やや問題がある》などと控え目にされるのが通例と思われるが,上記の解説においてはいずれも,《本判決において指摘された事情を勘案すれば,本訴の提起が不当訴訟に当たらないとした判断は相当であろう。原審の判断は,提訴者に高度の調査,検討義務を課するものあって,裁判制度の自由な利用の確保という観点からは,疑問があるものといわざるを得ない。》《訴訟の前提となる権利又は法律関係が事実的,法律的根拠を全く欠くものではなかったとしても,提訴者に害意や嫌がらせなどの不当な目的があった場合にはなお,これが裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くものとして,不法行為に当たるか否かを検討する余地があるものと思われる(文献略)が,本件は,そのような事案でではないことが暗に示唆されているものと思われる。》と評釈されている。
   また,上告審判決が,《従来の枠組みを踏襲するものであ》るとしながらも,同判決の説示が,《本件が,報道により信用又は名誉が損なわれた事案であることを示》していると評釈している。
 
   上記評釈内容は,極めて常識的なものであると考えられるが,破棄差戻し前の控訴審が,被控訴人らに対する計画的な嫌がらせ行為として組織的に行われたものとまではいえない旨認定していながら,反訴請求を全部認容すべきものとした判断をした一方,第一審は,控訴人らが嫌がらせ行為と主張した行為の存在は認定しながらも,控訴人らの請求を棄却する判断をしていたことも併せ考慮すると,破棄差戻し後の控訴審である御庁は,職員からの情報提供等を端緒として掲載された新聞記事により,信用は又名誉が損なわれた場合において,使用者の従業員に対する嫌がらせ行為の存否,損害の有無又は金額が争点となっている事案において,後の事件の指針になる事実審としての判断を示す役割を担っているというべきである。
 
 
4 受命裁判官は,その都度,将来の労使関係の安定を念頭に置く必要性を強調し,和解によって解決するのが適切であると繰り返してきた。
   しかしながら,被控訴人としては,本件の背景となる労使関係に係る事情は,訴訟追行に必要な範囲に限定して控え目に主張・立証してきたものであって,訴訟資料などによって顕出された背景事情も極めて断片的なものにすぎず,それにもかかわらず,唯一和解こそが解決のみちであるかのように発言には,大きな違和感がある。
   被控訴人としては,特に,差戻し前の控訴審で和解勧告を拒否したのは控訴人らであり,その結果,裁判制度の利用を不当に制限する結果となりかねない内容の差戻し前の控訴審判決が言い渡され,上告受理を申立ててようやく正当な判断を得ることができたという訴訟の経過に加え,施設内において労働組合が結成され以降の労使の関係,本件紛争発生前後の状況,本件紛争発生後の労使間の団体交渉等,控訴人らの外部での活動の実情その他の労使関係の状態に照らすと,本件は和解によって訴訟を終了させる事案ではないと確信している。
   そして,この認識は,当職と被控訴人の共通認識であり,当職としては,このことを受命裁判官に伝えてきたつもりであったが,意に解して貰えなかったことは残念というほかない。
   訴訟上の和解を可能にするためには,何よりもその前提として当事者の裁判所に対する信頼がなければならないと考えるが,これに疑義を持たざるを得ないような対処は厳に慎むべきであると考える。
   被控訴人らは,上告受理申立て理由書において,次のとおり述べたが(申立ての理由中排除されなかった部分),被控訴人が和解に応じないとの意思を明らかにしているにもかかわらず,さらに,和解期日を繰り返すことは,裁判制度の利用を不当に制限することになりかねないという点で,破棄差戻し後の控訴審において,破棄差戻し前の控訴審の轍を踏まれることになりかねないというべきである。
      「・・・そうであるにもかかわらず,申立人の訴え提起を,《・・・・・・権利の存在につきわずかな調査をしさえすれば理由のないことを知り得た》などと説示するのは,申立人が,突如起こった虐待疑惑の中で右往左往しながら,素人で稚拙ながらも何とか真実を確認しようと努力してきたことに一顧だにせずに無視するものにほかならず,独断的な判断というほかない。
       高等裁判所民事部が2箇部しかない高裁管内においては,上記のような判断が,裁判官,殊に裁判長の考え・個性によって安易にされれば,管内での控訴提起が萎縮抑制され,裁判制度の自由な利用が著しく阻害される結果となりかねない。
       なお,原審で取り調べられたA施設長の証言中には,確かに思い込み甚だしいと評価されてもやむを得ないものもあるが,それは,事実そのものではなく,判断過程,意見に関わる部分であって,原判決中に,敢えてA施設長の供述を基に縷々事実認定をする一項を設けて,申立人に不利な結論を導く材料とするまでもないと考えられ,申立人の立場としては,A施設長の証言態度に対する過剰反応と思わざるを得ない。」
 
5 そして,被控訴人には,平成22年3月26日の和解期日の後に明らかになった事情であるが,受命裁判官が挙げる和解の利点自体が既に消滅したことを述べておかなければならない。
   すなわち,控訴人X2は既に施設を退職していたところ,控訴人X1は,上記和解期日終了後その日のうちに,施設長に面談を求め,同月3月31日をもって退職したい旨の被控訴人に対する退職届を提出した。
   しかも,その際の控訴人X1の説明によると,既に4月以降の勤務先も決まっているとのであった。
   このことについて,これ以上の論評は控えるが,いずれにしても,労使関係において,集団的場面においても,個別的場面においても,受命裁判官が強調してきた和解の利点は,既に抽象的にも消滅しているといわなければならない。


6 以上のとおり,被控訴人は,和解期日が重ねられたものの,和解勧告以来一貫して消極的態度を明らかにしてきたのであるから,併行して,指定した判決言渡期日に判決言渡しができるよう準備がされていてしかるべきものと考えるが,仮に予定どおり判決言渡しをすることが不能であるとしても,直ちに和解を打ち切り,速やかに判決を言い渡すことを強く希望する。
   被控訴人及びその訴訟代理人としては,熱心に勧告した和解が不成立になったからといって,裁判所の判断に影響が及ぶことはないものと確信しているが,上告審において破棄され控訴人らが撤回した主張部分を除いても,慰謝料請求を過大に認容できるとして,上告受理さえも封ずる技巧的な判決がされることもないことを期待し,本上申に及ぶものである。
                                                                                               以上

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