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メモ

カリスマ経営者と事業承継問題 010

2016年5月 9日 17:01

カリスマ経営者と事業承継問題

-- 成功した経営者の特徴には,どんなものがありますか。

 前田 結論からいうと,事業のすべてをコントロールし続けたことです。アマゾン・ドット・コムの創業者ジェフ・ペゾスは起業当初,ほとんど会社を離れず,重要な仕事はすべて自分でこなしていたのは,その典型でしょう。

-- 企業は経営者だけで成り立っているわけではありません。

 前田 経営者が組織,端的に言えば,他人の力を借りる必要があるのは確かです。成功哲学の祖といわれるナポレオン・ヒルは著書,『思考は現実化する』(きこ書房)の中で,世界の自動車王ヘンリー・フォードの逸話を紹介しています。とある新聞社がフォードを"無知な平和主義者"と論評。名誉毀損(きそん)で裁判となりました。法廷で新聞社側の弁護士は,フォードが無知な人間であることを証明しようと,一般知識の質問攻めにしました。フォードは,「自分のデスクの上にたくさんのボタンがあり,必要としている知識を持った部下がすぐ来てくれる。なぜ一般的知識を詰め込んでおく必要があるのか」と述べています。企業が大きくなれば組織の拡大は自然なことです。しかし,卓越した経営者は,すべてをコントロールできる仕組みを作り,組織や人を活用しています。トップは孤独といわれますが,自分の置かれた状況を直視し,冷徹に乗り越えているのです。そういう意味では,昨年末に死去した北朝鮮の金正日総書記がタイムリーな話題です。

-- 国家の代表を,企業の経営者として捉えるわけですね。

 前田 はい。金正日は,善悪という視点を別とすれば,見事なリーダーともいえます。存命中,国際的にも国内的にも極めて危機的な状況にありながら,自国を完全にコントロールしきったわけですから。民衆からの私刑で命を落とした,リビアのカダフィー大佐とは一線を画しています。2人とも,享年が満69歳。ポル・ポト,フセインらと同じという独裁者の不思議な偶然を感じますが・・・。

-- 有能なトップが急死したあとは,後継者問題が浮上します。

 前田 卓越した経営者が事業を完全にコントロールすることができた背景には,固有のカリスマ性や経営者個人のパーソナリティーが大きな役割を果たしています。事業承継というと,遺言書の作成とか節税対策といったことに目が奪われがちですが,実は経営者個人のパーソナリティを代替することが最も重要なのです。金正日後継となる金正恩の権力掌握が進むかどうかは,この継承が上手くいくかどうかです。当事務所では,本気で事業承継対策を考えている経営者の方を応援しています。