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メルマガ【弁護士前田尚一の「本当は怖い身近な法律問題」】の新作を発行しました。

2011年8月30日 18:00

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     本当は怖い身近な法律問題 vol.36  2011/08/30
         http://www.smaedalaw.com
     http://www.jikokyusai119.jp (交通事故)
      http://saimuseiri-kabarai.com (債務整理)
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 お盆休みもとっくに終わってしまいました。
 私はというと,例年どおり,二つの実家に泊まり,お墓参りに行って参りま
した。

 先祖というと,「相続」が思い浮かびます。
 幸い,私自身は平和ですが,
 実際に,相続の場面に遭遇すると,相続人の間で,何かと不公平感があった
り,不満が噴き出したり......

 そして,トラブルは,親子兄弟叔父叔母甥姪といった相続人の間でばかりで
はありません。
 債権者を始として第三者から見ると,相続の場面で納得できないことが起き
ることが少なくありません。

 例えば,何億もの借金を負ったままで死亡し,奥さんが莫大な保険金を受け
取り,借金返済はしなくてよい場面とか......。


 なお,今回のテーマは,特に関心のある方が多いと思います。
 このメールは,転送自由ですので,役に立ちそうな方にご紹介ください。
 ⇒ http://www.mag2.com/m/0001001640.html (無料登録はこちら)

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  亡くなった方(被相続人)借金があった場合,相続人が借金から逃れるため
に,相続の放棄という方法が利用されています。

 先ほど挙げた何億もの借金を負ったままで死亡し,奥さんが莫大な保険金を
受け取り,借金返済はしなくてよいことになったのは,奥さんが相続の放棄を
したからです。

 では,何故保険金を受け取れるかというと,奥さんを受取人として亡くなっ
た方が生前に契約した生命保険は,相続財産に入らないからです。
 なお,生命保険の受取人が本人になっている場合は相続財産に含まれること
になりますし,上記の奥さんが受取人となる保険も,相続税の対象にはなるの
でご注意ください。
 
 さて,民法には,次のように定められています。

   「相続の放棄をした者は,その相続に関しては,初めから相続人となら
   なかったものとみなす。」(939条)

 相続を放棄すると,初めから相続人にならないわけですから,借金といった
義務ばかりではなく,権利一切も引き継がないことになるわけです。
 ただ,敢えて権利一切を引き継がないために,相続を放棄するというのは,
あまり多くなく,やはり,やり方を間違って遺恨を残すのは,債務にかかわる
場合です。
 
 相続人全員で相談し,借金は財産とともにひとりの相続人に集中させ,自分
は相続を放棄したのだから,大丈夫とおっしゃる方がときどきおられます。

 しかし,なんと!!,このような場合,「相続の放棄」ではなく,「遺産分
割の協議」をしたにすぎないということが多いのです。

  「相続の放棄」が,相続そのものを拒否することであるのに対し,「遺産分
割の協議」は,相続したことを前提にして相続人が話し合いで財産などの振り
分けを決めることと,法律は全く別物の扱いをしています。

 損得の効果でどこが違うかというと,「遺産分割の協議」の場合ですと,相
続人が勝手に決めただけであって,実は,相続分に応じた借金は残っていると
いう扱いを受けてしまうということです。

 それなのに,本人が「相続の放棄」をしたつもりでいる場合があるのです。

 「相続の放棄」は,やり方が決まっており,しかも期間制限があります。
 制限された期間に決まったやり方をしなければ,「相続の放棄」をしたこと
にはなりません。

 民法は,相続の放棄の方式を次のとおり定めています。
 つまり,原則的には,相続開始を知ってから3か月以内に家庭裁判所に手続
しなければ,相続の放棄をしたことにはならないということです(ただし,法
律上,判例上,例外的取扱いがありますので,実際に放棄の期間切れのような
問題に直面したら,必ず専門家に相談して下さい。)。

   「相続の放棄をしようとする者は,その旨を家庭裁判所に申述しなけれ
   ばならない。」(939条)

   「相続人は,自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇
   月以内に,相続について,・・・放棄をしなければならない。...。」
   (915条1項)


 1億円の財産があるけれど1億円の借金があるAさんが,Bさん,Cさん二
人の子を残して死亡した場合を考えてみます。
 財産は,Aさんの事業にかかわるものでした。
 BさんとCさんは相談し,財産も借金もすべて,事業を引き継いだBさんが
承継することに決めました。

 しかし,相続そのものを拒否する「相続の放棄」をしないで,一旦相続をし
てしまったCさんには,対外的には,相続分2分の1にあたる5000万円の
借金を引き継ぐことになるのです。

 兄弟で借金の負担を勝手に決めても,債権者はそんなこと知らんぞ,といえ
るということです。

 したがって,法律的には,Cさんは,財産はもらえないまま,借金の半分払
わされるという事態になりうるのです。

 ところで,債権者からみると,Cさんが借金を半分負っているのに,これを
返すために有効な財産をすべてBさんに渡されてしまうと困ります。Cさんが
相続分の借金を逃れることができない反面,Bさんは相続分の借金を支払えば,
それ以上の返済はしなくともよい立場だからです。

 そこで,債権者には,相続分の財産をCさんに戻す手続が認められています。
 専門的な話になるので,深入りするのは避けますが,債権者は詐害行為取消
権(民法424条)という権利を使って,名義をCさんに戻すことができるの
です。

 もともと自分の借金がある相続人にも,故人の財産を承継させると,遺産が
借金返済にあてられてしまうから,この相続人に財産承継させないようにしよ
うという場合も同様です。

 つまり,「遺産分割の協議」によっては,債権者の動き方によっては,思い
通りにならない場合があるということです。
 しかし,「相続の放棄」をすると,財産と借金をすべてBさんに集中させる
ことができるのです。

 少し話が難しくなったかもしれません。
 もう一度頭から読んでみて下さい。
 そして,もしこのような場面に直面したり,あるいは直面しそうな予感がし
たら,必ず,専門家にご相談ください。

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  弁護士 前 田 尚 一(まえだ しょういち)
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