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【BNN】犯罪成立に「動機」は必要か

犯罪成立に「動機」は必要か

前田弁護士

前田尚一弁護士

プロフィール

 

 「執行猶予中も『あぶり』!元・光GENJIまた覚せい剤」。

 紙・電波もちろん、ネットでも「スポニチ Sponichi Annex(12月30日)」ほか多数で報じられている。

 個性の時代と言いながら、このような報道があると、世間の考えは一気に大きな方向に流れるのが、最近の傾向のようだ。

 「彼の環境が、彼が覚せい剤を使用しなければならない状況に追い込んだ!!」 と言われることがある。

 しかし、同じ環境にある人々が、皆、覚せい剤を使用するわけではない。極めて例外的な行動だ。

 「覚せい剤を1回使用すると、ほとんどまた使う。常習性、再犯性が強く、戻ることは難しい!!」と言われることもある。それでも、例外的ではあるとしても、更生して元の世界に生還する人もいる。

 物事必ず例外があり、例外も一緒に考えておかないと、1億3000万人が一気に間違った方向に行くというと大袈裟かもしれないが、重大で再生不能の過ちも怒りかねない。各人が個性の時代と錯覚しているとなおさらだ。

 少年犯罪が起きると、テレビに呼ばれた専門家は、「このような事件が起こらないようにするためには、1度の事件として扱うべきではなく、少年の心の暗闇に光を当てなければならない」などと解説する。

 だが、少年の心の暗闇はどこにあるのだろう。どうやって光を与えるのだろう。犯罪の被害者は毎日のように作られる。被害者や家族のプライバシーがもっともらしく暴かれる。加害者の、犯罪とは関係のない身内が責められ続ける。

 もちろん、各人がいろいろ考えたからといって、世の中が変わるわけではないのが現実だが、識者の言うことを、「ごもっとも」と思って聞いていると、自分自身を変えることさえもできない。

 報道の嵐の中で、つい最近の重大事件も、あっという間に忘れがちだ。「結婚サギ不審死」事件が複数報道された。1つの事件で被害者は複数だが、詐欺(未遂)罪で起訴されたが、殺人罪で起訴すべきかどうかはともかく、罪名に殺人罪はないのは何故だろう。とはいえ、このままでは、きっとこのまま忘れ去られるだろう。

 押尾学は、何故またしても逮捕されたのか?背景は何か。本当に逮捕された罪名で起訴されるのか、しっかり見ておかなければならない。

 和歌山カレー事件は状況証拠しかないと言われながら、なぜ有罪になったのか。死刑判決が確定したのだ。状況証拠も、訴訟上は証拠だなどという学者の論理で説明すれば足りるものではない。判決当時、「動機はとうとう明らかにされなかった」ともっともらしく論じられた。そもそも犯罪の成立に「動機」は必要か。

 考えてみると、刑事事件だけみても、あまり論じられていないが、興味深い疑問は山のようにある。今年は、忙しさにかまけて本連載への寄稿回数が今ひとつだった。

 今回は予告じみてしまったが、来年は是非、頻繁に寄稿したいと考えている。

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