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知っ得「法律」情報

割増賃金の恐怖 企業存亡の危機!?


 最近,残業代請求が急増しており,企業の心配の種どころか,恐怖の元になっています。

 しかし,それどころ,最高裁判所は,平成21年12月18日,理髪店チェーンの総店長が深夜割増賃金を求めた事件で,管理監督者でも深夜割増賃金の請求が可能であると判断したのです。

 ところで,日本マクドナルドの直営店の店長について,残業代を払わないのは違法だとする裁判例があり(東京地方裁判所平成20年1月13日東京地裁判決),激震が走りました。
 労働基準法第41条では,労働時間、休憩及び休日に関する規定は、事業の種類にかかわらず「管理監督者」については適用しないと定めていますが,マグドナルド事件では,直営店の店長は「名ばかり管理職」で,そもそも「管理監督者」にあたらないとして,残業代など約750万円の支払いを命じられたのでした。

 しかし,深夜割増賃金の請求について,最高裁判所は,「管理監督者」(管理職)であっても,その請求が可能であることを認めたのです。

 ⇒ http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=38279&hanreiKbn=01


 労働法の分野は,法律改正,裁判所の判断のいずれもが,労働者側に有利な方向に進んでいることは間違いありません。このことを良いことと考えるか,望ましくないことと考えるかは,各自の立場や価値観によることになるでしょう。
 しかし,どのような立場に立とうと,直面している現実を前提に物事を進めていかなければなりません。

 仕事柄,ときどき,裁判所で痛い眼にあった経営者が,「若造の裁判官が・・・」と怒鳴っている場面に遭遇します。しかし,「若造の裁判官」は,決して新規な考えで裁判を進めているのではなく,最高裁に象徴される上を見て,それに従っているにすぎないのです。むしろ,上を無視して,独自の考えで裁判をするほど度胸のある「若造の裁判官」はほとんどいないというのが現実でしょう。

 深夜割増賃金の問題にせよ,残業代の問題にせよ,放置しておけば,予想外の支出を招き,企業存亡の危機にもなりかねません。
 もちろんウルトラCを求めることは間違いですが,法律,判例,運用の中には,被害を最低限に抑えるヒントがあります。
 
 労働法の分野は,形式ではなく実質を重視する傾向が強かった上,実質の内容まで再検討するという潮流になるとすれば,経営者は直ちに対策を検討しなければならない場面というべきでしょう。

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