札幌の弁護士 前田尚一法律事務所 > 法律相談 > 知っ得「法律」情報

知っ得「法律」情報

【BNN】新聞記者も読み間違いかねない裁判の成り行き

新聞記者も読み間違いかねない裁判の成り行き

気球

昨年はケニアで気球に乗りました

プロフィール

 

 最近、マスコミの取材を受ける事件が多いのですが、司法担当の新聞記者であっても、裁判の仕組み、特に実際の動き方を誤解しており、当該事案の姿を間違って報道しかねない場面もあります。

 そこで、今回は、『新聞記者も読み間違いかねない裁判の成り行き』というお題で、お話いたします。

 司法担当の新聞記者であっても、"裁判の成り行きを読み間違いかねない"その原因は、やはり、法律で定められた裁判の仕組み自体はある程度ご存じでも、その枠組みの中で、生き物である紛争がどのように動いていくことになるのか、その背景とか実態とかという部分にはなかなか手が届かないということがあるのかも知れません。
 
 しかし、その点を解明する上で、皆さんにはまず、裁判自体の法律どおりの仕組みを理解しておく必要があると思います。

 そうでないと、どのような点に手が届かないか、どうして事件の背景、実態とのずれが起きるのかも理解できないと考えられるからです。

 そこで、今回は、以上のテーマをご理解いただくうえで、最低限必要な裁判の仕組みを説明することにしましょう。

 ここでは、私人が原告となって裁判を起こす訴訟、つまり、「民事訴訟」について述べていくことにします。
 
 訴訟は、裁判を起こした原告と起こされた被告との闘争の場であり、裁判の中で当事者の歩み寄りがなければ、裁判所は、勝ち負けの判断を下します。テレビドラマなどでも、法廷場面がよく出てきますので、その場の雰囲気はご存じのことと思います。
 
 まず、
こちらをクリックして、全体像を確認して下さい。

 以下の説明が判りやすくなりますので、必ず確認しておいてください。

 裁判で、原告が全面勝訴すると、次のような感じの判決が言い渡されます(5437万円余りの支払が命じられた例です)。

 被告が全面勝訴すると、つまり、原告が全面敗訴した場合、判決は次のような感じになります(この例は、離婚事件の場合で、正確には、民事訴訟とも区別され、人事訴訟と呼ばれています)。

 裁判所で、民事上の要求を認めてもらうためには、まず訴訟を起こさなければなりません(「訴えの提起」)。

 黙って、待っていても、裁判所が自動的に動き出してくれるわけではありません。裁判所で自分の要求を通す判断をしてもらいたい人は、原告として、裁判所に、『訴状』を提出します。

 『訴状』というのは、例えば、こんな感じです。

 「請求の趣旨」という箇所には、原告が裁判所に認めてもらいたい要求の結論を書きます。

 この参考例は、一定の薬害によるC型肝炎被害者が給付金の支給を受けるための裁判で、実際に提出した訴状です。一定の薬害によるC型肝炎被害者については、法律が制定され解決方法が定められました。

 しかし、給付金を受けるためには、まず、訴訟を提起しなければならないという面倒なことが決められています。

 「請求の趣旨」の中で、一番大事なのは、「1 被告は、原告に対し、金2100万5000円及びこれに対する訴状 送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え」という部分になります。

 そして、「請求の趣旨」に書いた要求を認めてもらうためには、その理由をはっきりさせなければなりません。言い分として、「請求の原因」という箇所に記載したうえ、証明していかなければならないのです。このあたりになると、ちょっと専門的になってきますので、まだ機会を改めてご説明したいと思います。

 原告が訴状を提出すると、被告は、答弁書と呼ばれる書面を提出します。訴状に無条件で応ずる場合はともかく、紛争が裁判所の外ではケリがつかなかった場合に、訴えを提起する訳ですから、答弁書を提出するとすれば、争う内容のものとなるのが通例です。
 
 
『答弁書』の実際例をご覧いただくと、こんな感じです。

 なお、被告が答弁書も提出せず、裁判所に出頭もしないという対応をとると、争うつもりがないという扱いを受け、ほとんどの場合、被告全面敗訴の判決が言い渡されますので(「欠席判決」)、もし被告になったらご注意ください。

 さて、『答弁書』の実際例をスクロールして、3頁をご覧ください。

 いきなり、

 第1 請求の趣旨に対する答弁
  1 原告の請求を棄却する。

 ・・・・・・・・と書いてあります。

 この記載は、原告である被害者の、「1 被告は、原告に対し、金2100万5000円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え」という原告にとってもっとも大事な請求に対する、被告国の回答です。

 「原告の請求を棄却する」という言葉は、法律になじみのない方であっても、「裁判所は原告の請求を認めるな」という意味であることはわかるはずです。
 
 ところが、ここらあたりの理解、言葉の意味の捉え方が、事件の中身や、成り行きについて、誤解してしまうことの始まりとなるのです。

 少し長くなりましたので、詳しくは次回ということで。今回は、以上のことを頭に入れておいて下さい。

 2月21日(水)、STV(札幌テレビ放送)の「どさんこワイド179ニュース」で放映されるC型肝炎訴訟に関するニュース企画(午後6時16分~の枠内)に出演しますので、ご視聴いただけると幸いです。

 最後に、「札幌交通事故・後遺症救済センター」「札幌債務整理・過払い救済センター」のブログを新設したことをお知らせいたします。

 

 

前田尚一法律事務所 法律情報
http://www.smaedalaw.com/jyoho.htm

PageTop